会議のメモは残っているのに、決定事項や次の作業が分からない。録音から文字起こしを作ったものの、長すぎて読み返せない。そんなとき、生成AIは議事録の整理を助けてくれます。
ただし、文字起こしを貼り付けて「要約して」と頼むだけでは、重要な条件が落ちたり、発言と決定事項が混ざったりすることがあります。本記事では、会議後に使える形へ整えるための実務フローと、確認時の注意点を紹介します。
生成AIが得意なのは「整理」であって「決定」ではない
生成AIは、長い文章から話題を分け、似た内容をまとめ、指定した形式へ整える作業に向いています。一方で、会議中に明言されていない結論を確定したり、曖昧な担当者や期限を正しく補ったりすることはできません。
そのため、議事録作成ではAIに判断を任せるのではなく、材料を整理する補助役として使います。最終的な決定事項、担当者、期限、数値は元の記録と照合することが前提です。
議事録を整理する5ステップ
1.利用してよい情報か確認する
最初に、録音や文字起こしを外部サービスへ入力してよいか確認します。顧客情報、契約内容、未公開の企画、個人情報などが含まれる場合は、勤務先や取引先のルールを優先してください。
必要に応じて、氏名を「担当者A」に置き換える、金額や社名を削るなど、内容を匿名化してから扱います。録音を行う場合は、参加者への案内や同意も忘れないようにしましょう。
2.文字起こしの明らかな誤りを直す
固有名詞や専門用語が誤変換されたままだと、要約結果にも誤りが引き継がれます。すべてを先に清書する必要はありませんが、社名、商品名、人名、日付、金額など重要な語句は修正します。
- 誰の発言か分かる範囲で話者名を付ける
- 聞き取れない箇所は推測せず「不明」と記す
- 雑談や接続確認など、議題と無関係な部分を除く
- 会議名と開催日を材料に添える
3.議題ごとに内容を分類する
最初から完成した議事録を作らせるのではなく、まず話題を分類します。「文字起こしを議題ごとに分け、各議題で出た意見を箇条書きにしてください。結論が出ていない内容は未決定と明記してください」と指示すると、議論の流れを確認しやすくなります。
分類結果を見て、同じ話題が別の議題に分かれていないか、重要な論点が抜けていないかを確認します。
4.決定事項とタスクを分ける
議事録で特に必要なのは、「決まったこと」と「次にすること」です。この二つを分けて抽出します。
- 決定事項:会議内で合意された内容
- 保留事項:追加確認が必要な内容
- タスク:会議後に行う具体的な作業
- 担当者:作業を担当する人
- 期限:完了または確認する日
担当者や期限が発言されていない場合は、AIに補完させず「未設定」と出力させます。空欄が見えることで、会議後に確認すべき点が分かります。
5.元の記録と照合して共有する
整形後は、文字起こしや手元のメモへ戻り、固有名詞、数字、否定表現、決定事項を確認します。「検討する」が「実施する」に変わっていないか、「来週まで」が具体的な日付として勝手に補われていないかにも注意が必要です。
確認が終わったら、会議の参加者が読みやすい長さへ整えます。詳細な発言録を添付し、本文では結論とタスクだけを示す方法もあります。
そのまま調整できるプロンプト例
以下は会議の文字起こしです。内容を議事録として整理してください。
構成は「会議概要・議題・決定事項・保留事項・タスク一覧・次回確認事項」にしてください。
タスク一覧は「作業内容・担当者・期限」の3項目で整理し、材料にない担当者や期限は推測せず「未設定」と記載してください。
意見や提案を決定事項として扱わないでください。固有名詞と数字は入力内容を維持してください。
会議によって必要な項目は変わります。相談会なら質問と回答、進捗会議なら課題と対応方針など、用途に合わせて構成を調整しましょう。指示全体の組み立て方は、仕事で使えるプロンプトの整え方でも詳しく紹介しています。
要約の前に「判断ルール」を伝える
議事録の精度を上げるには、文章の長さよりも分類ルールが重要です。「発言者が了承した内容だけを決定事項にする」「期限が明記されていない場合は未設定にする」といった基準を先に渡します。
一度でうまく整理できない場合は、次の順番に分けるのも有効です。
- 議題と論点を抽出する
- 決定・保留・タスクに分類する
- 共有用の文章へ整える
- 抜けや矛盾の候補を挙げる
工程を分けると、どの段階で内容がずれたのかを確認しやすくなります。
生成AIで議事録を作るときの注意点
要約だけを見て事実確認を終えない
読みやすい文章でも、内容が正しいとは限りません。特に金額、日程、契約条件、担当者は元の記録と照合します。
発言のニュアンスを削りすぎない
反対意見や条件付きの合意を短くまとめすぎると、結論が変わって見えることがあります。重要な理由や条件は、決定事項の補足として残しましょう。
未決定事項を勝手に埋めない
空欄はミスではなく、追加確認が必要という情報です。推測で担当者や期限を設定せず、未設定のまま見える化します。
まとめ
生成AIで議事録を整理するときは、文字起こしを要約するだけでなく、議題、決定事項、保留事項、タスクへ段階的に分類することが大切です。担当者や期限を推測させず、最後は必ず元の記録と照合します。
AIに任せる範囲と確認する範囲を分ければ、会議後の整理時間を減らしながら、次の行動が分かる議事録を作りやすくなります。


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